君に会えたら伝えたい事がある。
部屋に戻り電気をつけたクラウディオが僕に心配そうな声で大丈夫かと聞いた。
「大丈夫って何が?」
「いやアリサの事もハナの事も」クラウディオは聞きにくそうに尋ねた。
「アリサのことはもうどうしようもないから。また泣かれても困るし、ヒステリックになられても困るし。変に優しくしたのがダメだったんだと思う。もういくら話しても手遅れって感じだし」そこまで言うとクラウディオは苦笑いをした。
「でもハナの事ってどういうこと?」僕は優しくクラウディオに聞き返した。
「いや、ハナの事気に入ってるから。だからあんな話し聞いて大丈夫だったかと思って」クラウディオは僕の機嫌を伺うかのように恐る恐る聞いてきた。
「別にハナのことは只の友達だから」僕はそう作り笑いとともに答えた。嘘をついた。でもきっとクラウディオにはバレバレだったと思う。
「そうなのか、でもきっとハナはお前のこと気に入ってると思うよ」とクラウディオは笑みを浮かべていった。
僕は何も返事をしなかった。
心の中で僕はそうだといいけれどもと思いながら。その反面、今日の噂の真相を確かめたくて仕方なかった。でも僕は仮にその噂が本当だとしても、僕はハナの事が好きな気がした。理由は分からない。それか僕は心の底で噂は真実じゃないと思いたくて自分に言い聞かせているのかもしれない。
考えたところで答えが出る訳ではない事も僕は十分に分かっていた。

< 29 / 70 >

この作品をシェア

pagetop