君じゃなきゃ
「なあ真沙、何かあったのか?」
「……え、何で。」
私は拓海に心のなかを見られている気がして慌てた。
どうしよう、私どうしたらいいの……。
「今日は隙だらけだぞ。酔い潰れるし。」
「あー、別に。……最近、仕事忙しかったからかなぁ……。
でも、ほんと酔い潰れてごめん。もう、大丈夫だから。タクシー捕まえて帰るわ。」
……もうダメ!これ以上拓海の声を聞いてると泣いちゃう。
……本当の自分を出すなんて、やっぱり無理……!
私は急いで帰ろうと立ち上がった。
が、私は拓海に手を捕まれた。
えっ、えっ……拓海のゴツゴツした大きな指が私の指に絡んできた。
……あったかい……。
同時にまた心臓もドキドキしている。
どうしよう、ドキドキがばれる!
「ちょっ、ちょっと拓海。どうしたの。ってかどこいくの。」
大通りまで出ると拓海はタクシーを捕まえ私を先に押し込み、後から乗り込んできた。
手は繋いだまま。
……何、どうなってるの?!
「ねー、拓海。家まで送ってくれるの?ねえ、拓海? 聞いてる?ってか、この手は何、離してよ。」
そんな私を拓海は何も言わず、なぜか少し寂しそうな目で私を見つめる。
……そんな目で私を見ないで……!
私は本当の自分を拓海に見られているような気がして、どうしていいか分からなくなった。
私は必死に拓海の手を振りほどこうとしたが、なぜか拓海が強く握って離さなかった。
……どうしたらいいの……。
……もう逃げられない……。
今夜、私は本当の自分を拓海の前にさらすのが運命なのかな……。
露天の占い師の言葉が甦ってきた……。
( 安心して。自分の気持ちに素直になりましょう。 )