冴えない僕と煌びやかな君
驚きと恐怖と、そして少しの喜びを
その表情に浮かべている。


怖い思いをしても、
悪女さんはスミレのファンなのだ。


そう思った。


しかし、人は恐怖には勝てないらしい。


「...っ、」


〝たすけて〟


声にはならない思いを、
必死に唇にのせようとする。


あまりにも震えるから、
それは結局叶わないようだけれど。


ただパクパクと口を動かすだけ。


まるで、酸素を求めて水面から
顔を出す、金魚のようだった。


悪女さんから、金魚さんに変更しようか。
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