ばくだん凛ちゃん
あの後に無事に妊娠、出産に至って本当に良かった。

「この子のかかりつけ医は先生でお願いします。
…あんなに必死になって、あの子を助けようとしてくださった先生なら信頼出来ます」

ニコニコして僕に言うお母さん。
時折抱いている子供を見て、微笑んでいる。

「全力を尽くします」

そう言うと嬉しそうに僕を見つめている。

「さあ、ちょっと痛いけど、頑張ろうね」

僕はその赤ちゃんを見つめて微笑む。

この子が僕を必要としなくなるまで、付き合う事が出来たら幸せだと思う。

「ギャアー!」

同時接種2本目でようやく痛い事に気が付いて泣き始める。
素早く全てを打ち終えると

「はい、おしまい。よく頑張ったね〜」

僕はお母さんに抱かれている赤ちゃんの頭を優しく撫でた。

「良かったね、先生に予防接種をして貰えて」

お母さんも嬉しそうに我が子に言われた。



僕が良い先生かどうかはわからないけれど、かかりつけ医に僕を選んでくれた。
大抵の子は中学卒業くらいまでで小児科を卒業する。
それまで、精一杯の手を尽くそう。



「ありがとうございました」

診察室を出ようとした母子に

「また何かあればいつでも来てください。
頑張って一緒に乗り越えて行きましょうね」

そう伝えると満面の笑みを浮かべて、大きく頷いてくれた。

そんな笑顔を見ると、小児科医も悪くないって思うんだ。

凄く幸せな気持ちになって、この日一日は穏やかに過ごせた。
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