ばくだん凛ちゃん
「…最近」

ハルちゃんの重い口が開いた。

「体は辛いけれどようやく凛との生活に慣れてきたんだけど…」

…やっぱり。
段々、母性本能も芽生えてきて、仕事なんてしたくなくなったかな。
仕方がないよね、こればっかりは。

「それでも働きたい気持ちはどこかにあるの」

ならば、是非!
あなたのように経理が出来る人はそうそういない!!
実務経験問題なし。
あ、ただちょっと特殊なので色々と覚えて貰う事はあるけれど。

「でも、離れたくない。
凛と出来るだけ一緒にいたい。
誰に似たのかわからないけれど、かなり手強いのは間違いないけれど」

ハルちゃんの目がチラッと透に向けられた。
わかる!
この手強さは透そのもの。

「凛の頑固な性格は僕に間違いなく似てます」

透、腹を立てるなよ。
淡々と怒るところが尚更タチが悪い。
そういう所、凛ちゃんが似たら可愛くない子になるよ!!
ひねくれているのはお前だけにしてくれ。

「一緒にいても大丈夫な職場ならお手伝いしますよ、お兄さん」

わーい!!
思わず心の中で万歳する。
子供が一緒にいても大丈夫な職場にしますよ、ハルちゃん!!

「ありがとー!!」

その瞬間、僕の太腿の上でジタバタする小さな足。

「うぎゃー!!」

凛ちゃんが顔を真っ赤にして泣き叫んだ。

「あ、ウンチ」

透がクスクス笑いながら言う。

「はいはい、替えさせて頂きます」

僕は凛ちゃんをタオルケットの上に降ろした。

「だからお兄さん、今度のお食い初めは来てくださいね」

ハルちゃんの柔らかい笑みを見て頷くしかなかった。



透、お前の奥さんは最強だな。
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