結婚ラプソディ
淡路さんが帰ってすぐに水間は研究室にやって来た。
入れ違いか。

「水間」

「はい」

「高石のところにはいつから?」

水間も嬉しそうに笑う。

淡路さんと一緒。
高石ファンだな。

「木曜の夜に。
そのまま高石と飲みに行く約束です」

「そう。
淡路さんとは一緒じゃないんだ」

「淡路さんはお姉さんと家で過ごすはすですけどね」

水間、その瞬間に

「あ…」

目が点。

「…いつから知ってるんですか?」

「ついさっき」

研究室に学生が何人か入ってきた。

私は水間から離れた。



…複雑。
学生同士ならまだしも。
准教授と学生って。
色々と周りから疑われたら…危険だ。

前に高石夫妻がこちらに来たときはまだそんな関係じゃなかったと思うのだが。

忙しいだろうけど高石にメールを入れておこう。
二人を抑えられるのは高石くらいだからね。



「先生、どういう事でしょうか」

即、電話が掛かってきた。

「あれ、珍しい」

高石の場合、すぐに連絡がつくというのはまずない。

「先週の土曜日から休暇に入っています」

珍しく、高石の声にイライラが見えた。

「どうも水間と高石の奥さんの妹さんが付き合っているみたいですよ」

「…保護者として許しません」

そんな低い声を出して…怖いです、高石。

「あいつも教育者としてもう少し自覚を持つべきです」

ごもっとも。

「いつからですか?」

「さあ、そんなに昔ではないとは思うけれど」

高石の大きなため息が聞こえた。

「わかりました。今度会う時に聞いてみます」

水間、お前は親友の高石を敵に回したみたいだ。

高石の結婚式前に厄介な事を引き起こしてしまったかも。
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