結婚ラプソディ
「ごめんなさい…」

ナツが何度も俺に謝る。
何だか苛めている感じがして

「もう、いいから」

と謝罪を拒否した。

「水間さん、すみません」

更にハルさんからも謝られて俺は苦笑いをする。

「謝らないでください。
最初にちゃんと話し合わなかった点に問題があります。
また二人でルールを決めて、何とか卒業まで辿り着くようにします」

そう言うとハルさんは安心したように微笑んだ。

「で、その後は?」

透は俺を許してくれない。



とことん、聞き出そうとしているな。
では俺のプランを公開してやろう。



「俺の中では卒業と同時に結婚を考えている」

チラッ、とナツを見ると…。
ナツは目を丸くして顔は茹で蛸のように赤い。
純粋で宜しい。

「その時期を逃せば次は初期研修の後、万が一それも逃せば後期研修の後…。
俺、その時には44歳。
ナツはまだ30だけど…、子供は後期研修の後でも良いけど、結婚だけは卒業後、早くしておきたい」

だって、そうでもしないと…

「研修中に俺よりイイ男が現れて、はい、サヨナラ!なんてなったらもう俺、死んでしまうわ」



透…俯いてどうした?
感動でもしたか?
肩が小刻みに揺れてるぞ。



「お前、本当はメチャクチャ焦ってるだろ?」

顔を上げ、涙を浮かべて笑わないでくれ、透クン。
これでも普段は何事にも動じないと有名な俺がかなり動揺しながら今、言える精一杯を言ったんだよ?

お前、笑いすぎだ!

腹を抱えて笑いだした。

殴りたい…。
< 16 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop