結婚ラプソディ
「それから数日して、ナツから先日のお礼がしたいと言うので改めて二人で食事に行ったんだ。
…そこでナツから告白された」

「お前からじゃなかったのか!」

透、驚き過ぎだよ。
お前の中で俺のイメージは一体、何?
野獣か?

「ほら、お前が前にハルさんと来た時、その時にナツが奥さんの妹と聞いてから色々と気にはしていたんだ。
で、居酒屋の件といい、何か気になって。
告白されて、俺のどこが良いのか聞いたら…」

透に言っていいのかな、コレ。

「…早く言え」

しばらく黙っていたら透が急かす。

「透とよく似ている、だってさ。
ナツは透に憧れまくっているんだよ、小さい時から。
だから日下教授によく質問に行ったり、研究室にも来たり。
また俺の所にもよく来てたな、今から考えたら」

「…哲人と俺、全く別人だけどな」

透は苦笑いをしている。
同じといえば同じ大学卒の小児科医という肩書くらいだ。

「勉強熱心で休みが合えばずっと俺の家で勉強してるよ。
その勉強に付き合ってるけど、あんなに一生懸命なのを見ていると俺もうかうかしてられない。
良い刺激を逆に貰っている。
…ひょっとしたらこの子は俺のトラウマを解消してくれるかも、と思った」

透は安心したように微笑んだ。
ようやく、納得してくれたか。

「まあ、また結婚するときはちゃんとお前に挨拶に行くから」

そう、保護者代わりだもんな。
…透に挨拶って、何か嫌だけど。

「楽しみに待ってる」

嬉しそうに言ってるよ。

「ただ、在学中に妊娠は止めてくれよ。そんな事になったらなっちゃんのキャリアに大きく響く」

俺は大きくため息をついて

「お前にだけは言われたくないよ、そんな事」

見事に1回で当てた人に言われても何の説得力もない。

「明日は俺とナツ、一緒にホテルで泊まるから」

「えー」

何が「えー」だ!!
大学病院でこき使われてる俺にもたまには休暇を!!
こういう時でしか休めん。
ちょっとは幸せな時間を俺にください。

「まあ、とにかく哲人」

お、真面目な顔をした、透。

「僕とハルはどうしてもなっちゃんから離れているから。
なっちゃんの事、頼んだよ。…一生、面倒を見てあげて」

透、それはもちろんだよ。

俺は笑って頷いた。
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