結婚ラプソディ

★ 高石 透 ★

ハルは自分の振舞いで僕達の印象が悪くなると思っているみたいだけど、それは違う。
多少の立ち振舞いなど、どうにでもなる話。

逆にハルがこの家族の絆を取り戻してくれたんだよ。

ハルが僕と結婚してくれたお陰でどれだけ家族の関係が良い方向に変わったか。

僕は自慢じゃないけれど、年に1回、実家に帰るか帰らないか、の放蕩息子だったからね。

ハルと結婚しようと思ってからは何回、帰ってきたかな。

この10年間に帰ってきた回数を軽く越えたよ。



「明日は大変だから早く帰って寝た方がいいよ」

食事も終わり、他愛のない話をしていると兄さんは時計を見て、言った。

時計は午後8時を少し回っている。

「そうだね」

ハルを見ると頷いた。

ただ、帰る前に言っておきたい事がある。

母さんと桃子さんが洗い物を終えてこちらに座る。



「父さん、母さん、兄さん」

僕は正座をして背筋を伸ばす。

「ようやく明日、僕達は式を挙げる事になりました。
順番が色々と逆になってしまい、申し訳ございません」

僕は頭を下げる。

「明日1日、色々とサポートして頂く事になるかと思いますが、どうぞ宜しくお願い申し上げます」

それだけは今日、伝えたかった。

きちんと自分の言葉で。



向き合う勇気をくれたのも、隣にいるハル。

君のお陰だよ。
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