結婚ラプソディ
「透サン」

ハルが僕の事を「サン」付けで呼ぶなんて…
何か、変。

「何ですか、ハルさん」

「…今日は何もしないはずでは?」

「抱きしめるだけでもダメなの?」

わざとハルの耳元で囁いてみる。
ハルって僕の声に異常なくらい反応して興奮する時がある。

「…透に触れられるだけで私がダメになる」

「そんな言葉…僕を煽りすぎだよ、ハル」

少しだけ低めの声で囁くと

「私を煽っているのは透の方だよ」

と言って僕の腕を軽く叩いた。

「今日はこれ以上、何もしないよ。
ただ…ハルの体温を感じながら寝られたらいいなあって」

僕の本心。

そのほんの少しの温かさで癒される自分がいる。



どうやら、僕は相当疲れていたらしい。
次に目覚めたのは夜中2時を過ぎたところだった。
普段ならこの睡眠時間だけでも十分だが、もう少しだけゆっくりする事にする。

ハルを見ると熟睡しているようで良かった。

そのお腹に手を当てる。
大きくなってきたな…

確か、今週火曜日。
検診だ。
性別も判る頃だ。
その日はなっちゃんも病院見学に来る。
休暇明けは色々と忙しくなりそうだ。

大きく呼吸をしてハルを見つめる。

僕、結婚した相手がハルで本当に良かったよ。
この人じゃないと、きっと結婚なんて、子供なんて。
無理だった。

今日はきっと大変だけれど。
ハルにとって良い思い出が出来るように頑張ろうっと。
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