結婚ラプソディ
3.結婚式

☆ 淡路 ナツ ☆

「うわあ」

白無垢姿のお姉ちゃんを見て思わず声を上げた。
ウェディングドレスも捨てがたいけど、これでもいいかも!!
自分の時の参考にしておこう。

紋付き袴のお兄ちゃんと並んだら恐ろしいほどお似合いだった。
運命のカップルってこういう人たちの事を言うのね、きっと。

お兄ちゃんのご両親もすごく喜んでいた。
自分の息子を差し置いて、お姉ちゃんに心からのおめでとう、の言葉を掛けてくれていた。

お姉ちゃん、良かったね。
良いご家族に巡り合えて。
これで私も安心して向こうで暮らせるわ。
…きっと、私。
こちらには帰ってこないから。
だから、本当に良かった。



しかし。



お兄ちゃんの親戚…。
どれだけいるのよ。

それに引き換え、こちらは…、私一人。
まあ両親もいないから仕方がないけれど。

お兄ちゃん側の親族がこちらにも座る。

居心地が悪い。

お兄ちゃんの従兄に独身者がいるらしくてやたらと周りが私にその人を勧めてくる。

…気持ち悪い。

どこぞの商社に勤めているとか興味ないし!!



式は粛々と進んでいく。
こういうのを見るとやっぱり神前がいいなあー。
先生にお願いしたらしてくれるかなあ。

…ってすっかり私の頭の中ではそういう事になっている。
いや、2人の間ではそうする予定。
私が大学を卒業したらすぐに。

実は昨日、指輪をもらった。
エンゲージリングだって先生は言ってた。

『誰にも取られたくないから、俺の気持ちを渡しておく』

今さっき、言われたかのように自分の耳に先生の声が残っている。

おかげさまで今日はお姉ちゃんの式と自分のプロポーズか重なって、私の頭は大混乱をしているけど。
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