結婚ラプソディ

★ 高石 至 ★

透とハルちゃんの式は素晴らしいものだった。

この二人に流れている気は…透明感、なのか。

清々しくて、見ている方が感動してしまうな。

透、珍しく緊張しているのがわかる。
盃を持つ手が少しだけ震えてた。

ハルちゃんは体が辛いのだと思う。
逆にそれが良いのか、透より落ち着いているように見えた。



それをぶち壊す気か…。

宏伯父さんの三男、尊臣。

母親と共に式前からなっちゃんにちょっかいを掛けている。

こちらの親族が膨大だからなっちゃんの近くに奴等はいる。

向かいに座っているから注意するにも出来ない。

隣にいる桃ちゃんもイライラしている。

さっきから目を何度も細めて奴等の行動を見ていた。



とにかく、透とハルちゃんには気付かれないように動かないとな。

あんなマザコン、なっちゃんには不必要だ!

…多分。

なっちゃん、あの透の友達と付き合っているのだろうな。

先日、休日なのにウチの小児科医達にビデオレターを頼まれて大学まで行ったけど…。

日下教授と水間准教授、それになっちゃんがわざわざ休みなのに研究室で待っていてくれて。

日下教授とは親子くらい離れているからそんなに違和感を感じなかったけれど、水間准教授となっちゃん。

目で会話してた。

何度もアイコンタクトを取るのには正直驚いた。

尋常ならぬ関係、か。

不倫とかだと嫌だな、と思ってそれとなく水間准教授に家庭の事を聞いたら、

「透と同じく独身貴族でしたが、透が先に結婚してしまいましたね」

と苦笑いをしたのでホッとしたのだ。
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