結婚ラプソディ
「こらっ!ウロウロする前にちゃんと名前を書きなさい!」

受付の前を何度も4人の子供達が落ち着きなくウロウロするので私はこちらを指さした。

素直に私の前に来て、自分達の名前を書く。

「子供さん、ですか?」

4人の子供達を見て、水間さんが聞く。

「はい」

「ひょっとして若くに?」

「そうです。一人目は高校を卒業した年に産みました」

水間さんは目を丸くした。

「あとの3人は三つ子です」

「へえー」

子供達は次々と水間さんに挨拶をする。

「ちょっと、そこの大人たちも記帳しなさい」

何とまとまりのないK-Racing。

光君と祥太郎君がやって来る。

「先生、ド派手な披露宴するんだな」

おい、祥太郎。
口を慎め。

「そりゃ…あなたの数倍、付き合いは多いわよ」

まあ、祥太郎君は世界にもたくさん知り合いがいるから、比較なんて出来ないけどね。

祥太郎君が名前を書いていると

「ひょっとして、二輪の世界GPにも出ていた…?」

水間さんの口から意外な言葉。

嬉しそうに祥太郎君は頷く。

「はい、今はK-Racingというチームで全日本ロードレースを中心に参戦しております、柏原 祥太郎です」

と言って頭を下げた。

「大学の時から機会があれば透からお聞きしております。
お名前を拝見して、見覚えがあったので」

じゃあ…、と言って水間さんは辺りを見回す。

「お子さん達もレースに?」

「はい、長女と長男が」

「ああ、それも透からお聞きしております。
大切な友達だから出来る限りは応援したいって言ってました。
僕もたまにテレビでしていたら見るときもあります」



透君、地道に二輪レースの普及、ありがとう。
< 33 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop