結婚ラプソディ
ほぼ、披露宴会場に入ったとみられる来賓。
静まり返ったロビーで2人、祝儀をまとめる。

「僕は遠く離れていますから何も出来ませんが透やハルさんの事、宜しくお願いします」

水間さん、本当に透君の事が好きなのね。
変な意味じゃなくて、人間として純粋にね。

「…二人に助けてもらうのは私の方かもしれませんよ」

本当に透君には何度、助けてもらったか。
これからは子育ての先輩としてお返しが出来たら良いけど。

「あ」

私は思わず声を上げた。
ちょうど会場に入る透君とハルちゃんが目の前に。

「二人とも、受付ありがとう」

透君が微笑む。

「いえいえ、透とハルさんのためなら」

水間さんの言葉に私も頷く。

「それより、本当に良かったな。
おめでとう」

「ありがとう」

透君は嬉しそうに微笑んだ。

ただ…私はハルちゃん、少し辛そうなのが心配。

「大丈夫?」

「うん…さっきから少しムカムカしていて」

ハルちゃんは左手をそっと胸に当てる。
その薬指にはマリッジリングが輝いている。

「無理しないでね」

「ありがとう」

そんなありきたりな言葉しか言えないけれど、ハルちゃんは微笑んで頷いてくれた。

会場に入って行く二人を見守る。

割れんばかりの拍手が鳴り響いていた。
< 35 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop