結婚ラプソディ
「ではお次は」

真由さんは私に手を差し出した。

「私は新婦のハルさんと同じ職場で働いておりました、神立と申します」

軽く頭を下げた。

「ハルさんには仕事では色々と助けられました。
彼女は簿記1級も持っているし、経理は完璧でした。
もっと一緒に仕事したかったですがおめでたなので仕方ありませんね。
これからは旦那様を支えて、家の経理をしっかりと押さえてほしいですね」

まあ、彼女なら心配はない。

真由さんはうんうん、と頷いてくれた。

「では…お次は!!」

妹さんにバトンタッチ。

「新婦の妹、淡路ナツです。
K大医学部5年生です。隣にいる先生方は私の先生でもあり、透お兄さんと縁の深い方達です」

と次はナツさんから隣の壮年男性へ。

「僕はK大で准教授をしております、水間と申します。
K大附属病院にも勤務しております小児科医です。
透とは大学時代からの付き合いで、今でも時々連絡を取り合っています」

その水間さんがチラッと見たのは初老男性。

「私はK大で教授をしております、日下と申します。
水間先生と同じくK大付属病院で小児科部長としても勤務しております。
透君の指導もしておりました」

優しく微笑む日下さんは本当にやさしい先生、という感じだ。

その頃、ようやく祝電の読み上げが終わり、本格的に歓談。

「ちょっとハルちゃんに会いに行きません?」

真由さんはにこやかに私を誘う。

淡路さん、いい友達を持っているねえ。

私も笑顔で頷いて真由さんと共に席を立った。



「おめでとう」

淡路さん…、いえ、もう高石さんなのよね。

ハルさんに声を掛けると嬉しそうに

「来てくださってありがとうございます」

…本当はつわりが酷くて辛いはずなのに。

そんな笑顔を見せられたら私は泣いてしまいそうよ。

「いえいえ、こんな素晴らしいお姿を拝見出来て私の方こそありがとうございます」

隣にいる旦那さんも私を見て微笑むので頭を下げた。

ああ、何かいいなあ~。

この二人、本当にお似合いだわ。



どうかいつまでもお二人が幸せに過ごせますように。
< 39 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop