結婚ラプソディ

★ 神宮寺 速人 ★

しばらくして新婦がお色直しの為に退場する。

振袖を着た妹さんがお姉さんと手を繋いで退場する。

いいなあー!
可愛いなあ、なんて思っていると

「変態神宮寺先生」

と隣に座っている黒谷先生が呟く。

「…何が?」

思わず呟いてしまった。

「獲物を狙う目をしていますよ」

うるさーい!

透先輩を見て、結婚もいいかなあって思っているんだよ!

「…じゃあどなたか紹介して」

「今、付き合っている人を全て清算したら紹介しますよ」

くーろーだーにー!!!

向かいに座っている太田先生と江坂先生が下を向いて肩を震わせている。

「黒谷先生も中々、素晴らしいですね」

河内さんまで…ヒドイ。



さて、透先輩一人でこの時間を繋ぐみたいだから少しだけ、お相手してくるか。

席を立ち上がって先輩の元へ行くと、ちょうど哲人先輩と一緒になった。

「透先輩、おめでとうございますー!」

「透、おめでとう」

「ありがとう」

ああ、何だかこの3人で一緒の場所にいるの、久しぶりのような気がする。

昔、大学の時に3人でどこまで飲めるか、競っていたなあ…。

一番強いのは見かけに寄らず透先輩だったけど。
しかもいくら飲んでも吐かないし、寝ない。

俺は…見かけ倒し。

一番弱い。

という事で透先輩のグラスに注ぎに行くと、

「お前、この一杯が後々どうなるか、わかってるよね」

哲人先輩がニヤニヤ笑っている。

「…何ですか?」

「まだ披露宴が終わってもこれから二次会、三次会と続くのに、後で透に仕返しされるぞ」

「…勘弁してください。
明日、日勤から当直なのに死にますよ、俺」

透先輩はクスクス笑うと

「良いことを聞いた。
それくらいで弱音を吐くようならまだまだ修行が足らないね」



透先輩ー!

表面は優しい小児科医のくせに中身は真っ黒じゃないですかー!



鬼ー!!!!!
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