結婚ラプソディ
「それよりも!
奥さんの妹さん、メチャクチャ若くないですか?」

その言葉を発した瞬間、透先輩と哲人先輩が固まる。



何、俺…

地雷踏んだ?



「そうだね。
僕より14歳年下だからね。
今年、24だよ。
今、K大医学部にいるよ」

…えっ、あの大学に?

透先輩のこの言い方、何となく…何となくヤバい感じ。

いや、絶対にヤバい。

「…狙ってるの?」

透先輩、怖いです。
−180℃くらいの声を出さないでください。

「いえ、若くて可愛いなあ、と思っただけです」

「どうもありがとう」

…何故、哲人先輩が言うの?

透先輩はニヤニヤ笑っている。

まさか。

「…哲人先輩。
禁断の恋じゃないですか。
後でじっくり聞かせてください」

俺もにやけてしまった。

「じゃあ4次会まで決まりだね。
速人、明日が当直であろうが何であろうが付き合え、いいね?」

透先輩…やっぱり鬼だ…
優しい顔をして、中身は真っ黒だ。

「まあ俺は火曜まで夏休みだしー!」

哲人先輩…。
あなたも透先輩もグルですね!



…とはいえ。
3人が揃うと何とも言えない感情が沸き上がる。

たまらなく懐かしくて、楽しい。

透先輩が結婚しても。
哲人先輩が禁断の恋を押し通しても。
俺が一生愛人まみれの生活でも。

多分この関係は壊れない。



「では、そろそろ僕も行かなくては…」

透先輩が立ち上がる。

「あ、この後に僕とハルのプロフィールビデオが流れると思うけど、二人にとって懐かしい写真が出てくるよ!」

透先輩、クスッと笑って退場した。

「透があんな風に笑うときはロクな事がない」

哲人先輩がそう言い放って席に戻る。

…確かに。
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