結婚ラプソディ
 - けれど大人の力に勝てなかった僕達は、別れました -

その大人の力って…。
ご両親ですか。
やっぱり喧嘩、売ってますよね?



その後、大学の時の写真が。



…げっ。



その瞬間、会場が爆笑に包まれた。

上半身の服を脱がされた俺と哲人先輩の体全体に仏像の顔を描いてる透先輩。
筆を持ってニヤリと笑って俺らを指さしている。

…散々酒を飲ませた後に寝込んだ俺らにそんな事を。
朝起きて哲人先輩と大騒ぎした記憶がある。

 - 大学は楽しい仲間がいて充実していました -

嫌だー、止めてくれえ!!

「神宮寺先生、高石先生に弄られ過ぎですよ」

黒谷先生が爆笑しながら俺に言う。

「あれは透先輩に嵌められたんだ!!」

哲人先輩を見ると先輩も奥さんの妹…いや、彼女に大笑いされていた。

あんな写真、撮ってたんですか、残してたんですか…。
ここにいる紺野の医師やスタッフたちに一生言われるじゃないですか。

やっぱり中身、黒い透先輩だ!!!

…あとでこの分、お返しさせていただきますよ。
小児科チームで。



 - 日下先生と出会って小児科医を目指しました -

透先輩はずっと日下先生を慕っていた。
国試をパスして小児科医として大きな一歩を踏み出した透先輩。
俺もそんな透先輩に憧れて小児科医になったんだけどね。
性格的な中身は黒いところが多いけど、仕事に対しては真っ直ぐな透明。
濁りがない。

 - 数年後、地元に戻り、兄と父と一緒に仕事をして -

お、いつぞやの病院講演会での3人。
一列に3人が並ぶのは珍しい。
貴重な1枚だな。

 - 救急外来でハルと再会しました -

その後は奥さんの高校卒業以降の写真が。
初めて働いた会社での様子。
また妹さんが大学入学したときにはK大へ来ていたんだ。
透先輩と同じ大学に妹さんが入学して、どんな気持ちだったのだろうね。
俺なら切ない、かもな。

 - 仕事で追い詰められて体調を崩し、私は救急で運ばれました -

あの時、俺はその場にいなかったけど。
病院中がざわついた事件になった。

 - 意識が遠い中、透の声が聞こえてお医者様に無事、なれたのだと -

透先輩の白衣を着た写真が出てきた。

 - その後、再び付き合うようになって -

2人が手をつないで振り返る写真。
奥さんのお腹が出ているのでごく最近の写真だ。

 - 今日のこの日を迎えることが出来ました -



…俺、泣いていいかな。
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