結婚ラプソディ

☆ 黒谷 雪 ☆

「透先生の、親に対する強烈なメッセージでしたね」

江坂先生が苦笑いをする。

「別れさせられた、というのが余程だったんですね」

太田先生も頷く。

「一歩間違えたら透先生のタイプは完全に道を外していましたよね」

「至先生がいたから何とか踏みとどまれたかも」

「高校のランクを落として正解でしたね」

「それは透先生の危機回避能力じゃないですか?」

このテーブルでは高石先生の幼少期の話で盛り上がっていた。
きちんと検証したら中々、良いデータが取れそう。

そんな話をしていると新郎新婦の再入場。
淡い水色のカラードレスが奥さんにはとても似合っていた。

いいなあ。
私も早く結婚したいなあ…。

「黒谷先生、ボーっとしてどうしました?」

「…神宮寺先生、ちょっとは余韻に浸らせてください」

女心をわかっていない人がここにいる。
こんなのが彼氏だったら絶対に嫌だわ。
しかも私より年上っていうのが余計に嫌。

医師としては…尊敬できるけど。



それはさておき、ケーキ入刀がここで行われた。

ここでもしっかり写真を撮る。
後で高石先生に渡す用に。
もちろん、泣き顔も撮る気満々!

「本格的ですよね」

とは太田先生。

「カメラ、趣味なんです」

ええ、そう。
後で流れるであろう高石先生へのサプライズもほぼ私の隠し撮り。

「今日は真面目に撮ります」

高石先生が泣かない限り。
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