結婚ラプソディ
うわ…
高石先生、やっぱり気配りが出来る人だわ。



ファーストバイトで奥さん、ケーキを食べるのは雰囲気的にヤバい。
かなり辛そうな表情を時折見せている。

見てるこっちがハラハラする。
特にこのテーブルにいる先生方、目を見開いていて、何が起こっても対応出来るようにしているのがわかる。
特に奥さんの主治医、江坂先生なんてアルコールは乾杯で一口含んだだけ。



高石先生はごく僅かの量を取って奥さんの口に運んだ。
その量、ティースプーンの半分より少ないくらいしかなかった。
その分、自分の口には多めに運ぶように奥さんに伝える。

…普段、少食なのにね。
そんなに大きな口を開いて食べるの、見たことがない。

高石先生らしいなあ。

そのケーキを食べる姿も滅多に見ないから収めておこう。



その後、各テーブルに新郎新婦の挨拶回りと先程のケーキが分けられて配られた。

「大丈夫ですか?」

このテーブルに来た二人におめでとうより先に出た言葉がそれ。

江坂先生だ。

「…すみません、ご心配をお掛けして」

奥さん、さっきよりは少しマシかな。

「万が一、耐えられなくなったらいつでも仰ってください」

心強い言葉を奥さんに掛けていた。

「本当に良かったですね!
透先輩、初恋の人と結婚出来たんでしょ?
ちょっと羨ましいかも」

…神宮寺先生、それは本心ですか?

「どうもありがとう。
お前と違って僕は一途だから」

高石先生の毒が出た。

おかげでテーブルに漂っていた緊張が少し解けた。



二人は手を繋いで各テーブルに回る。



…さて、いよいよですよ。

これが終わった後。

どんな反応をするのか、楽しみだわ。
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