結婚ラプソディ
次はハルの上司。
この方には何度かお会いした事がある。
いつも背筋が伸びていて、格好いい、という言葉がぴったりの女性だ。
ハルが憧れていて、一緒に仕事をしたかったけどつわりと変な課長のせいでそれは断念せざるを得なくなった。

時間が押しているのを察して手短に済ませてくれた。

その次の日下教授も手短に終わった。

みんな、ハルの事を思って、だった。
結局スピーチは全部で10分で終わるという。
おかげでハルの状態は少し持ち直した。

その次は…小児科、内科、産婦人科合同のムービーらしい。

「透先生、ハルさん、ご結婚おめでとうございます」

小児科病棟師長の河内さんの挨拶から始まる。

「お二人に記念になるものをと思い、ムービーを作成しました」

とは黒谷先生。

「ではどうぞ!!」

2人がそう言うと場内が暗くなる。



…嫌な予感がMAX。



『一回しか言わないからちゃんと聞いて』

えっ。

えー!!

「なんで?」

思わず叫んだ。

病院関係者からクスクスと笑い声が聞こえる。

『僕と結婚してください』

「待てー!!!誰、これ盗聴したのは!?」

「透、うるさい!!」

父さんの声が飛んでくる。



『はい』



ハルの返事まで。

僕にはプライバシーも何もないのか。

いや、病院で言ったからこんな事になったのか。



盗聴ボイスが終わると、画面が明るくなり小児科病棟の映像が映る。



まてまてまて。
病院全体で僕を嵌めたのか。
ここまで弄られるのか、僕。
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