結婚ラプソディ
「透先生、ハルさん、おめでとうございます〜!」

小児科病棟の看護師が集まってお祝いの言葉を述べていた。

忙しい中、本当にありがとう。

次に小児科医達。
場所は小児科外来だ。

「私も後を追いかけます!」

とは黒谷先生。

「俺も〜!」

速人が手を上げたが

「無理」

と太田先生に手を押さえられていた。

会場内、失笑。

その後、内科外来へカメラが向かう。

1診が開くとそこには椅子に座っている兄さん。

「透、ハルさん。
おめでとうございます」

と言って頭を下げた。

ありがとう、兄さん。

「ほら、二人とも。
この部屋、覚えてるかい?」

カメラがごくありふれた診察室を映す。

「君たちが高校生の時。
高熱でグッタリしていたなっちゃんを抱いて、ここに連れて来たんだよ」

あ…そうだ。
チラッとハルを見ると目を丸くしていた。

「その時から、もう二人は誰にも止められなかったんだよ。
途中、20年近くの空白期間があったけど…それは二人の絆を深める為だと僕は思う」

兄さんは微笑んでいた。

「どうか末永くお幸せに。
あ、何か困った事があればいつでも言えよー!」

最後は兄さんらしい締め方で終わった。

その次はNICUが映り、すぐ隣の産婦人科へ。

江坂先生と産婦人科スタッフがおめでとう!と言ってくれていた。

「透先生ご夫妻の赤ちゃんを無事に取り上げるまで、精一杯サポート致します」

本当に江坂先生にはご迷惑ばかりお掛け致します。

その後は各診療科に次々とバトンタッチされていって、最後に院長室へ。



父さんだ。



「透、ハルさんおめでとう」

画面の中の父さんが微笑んだ。
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