結婚ラプソディ

☆ 神立 真希 ☆

医者ってやる事、激しい。

二次会の景品、全員に用意してるって…。

しかも一番配分の多い、末等のような景品が…。

「わー!商品券だー!」

披露宴でも一緒の席だった真由さんが嬉しそうに中身を開けた。

「5000円のギフト券だー!」

…え。

5000円?

今、これだけで20人くらい、呼ばれましたけど。

その次の10人の中に呼ばれた私。

「…理解に苦しむ」

思わず呟いた。
中身は10000円のギフト券。
すると向かいの男性がクスっと笑って

「まあ、先生ならやりかねないですよ」

この方はどうも真由さんのお連れさんのようで…。

ただ、半端ないオーラを感じる。

「あの…」

紺野総合の医師と思われる一人がその横に来た。

「柏原 祥太郎さんですよね?」

「あ、はい」

その医師は嬉しそうに笑って

「もし良かったら、サインと写真をお願いして良いですか?」

「はい」

…有名人?

「次のレースも頑張ってください!
仕事が休みなら行きたいんですが下っぱなんで中々…」

「ありがとうございます、頑張ります。
またお休みが取れたらいつでもサーキットへ遊びに来てください」



ああ、さっき映像でも流れたバイクの関係者の方ね。

有名なのね、この人。



「…何されているのですか?」

思わず聞く。
詳細が聞きたい。

「バイクのレースに出ています。
普段はバイク屋の店員ですけどね。
高石先生は兄と同い年で、高校の同級生です。
…高校の時、亡くなりましたけど」

あ、披露宴の時に真由さんが言っていた方の事ね。

「高石先生はそれ以降も時々、バイク屋に来てくれたりサーキットに来てくれたり。
色々とお世話になっています」

淡路さん…いやいや、ハルさんの旦那様って意外な繋がりを持っているわね。

「ウチの子供も高石先生によく診てもらってます。
…ただ、総合病院の先生だから普段は中々敷居が高くて。
細かいところまでしっかり診てくれる先生が地域の開業医なら申し分ないんですけどね」

私はうんうん頷いて

「子供を持つ、親の悩みだよね、それ。
わかるわ」

と言うと、目の前の彼は人懐っこい笑みを浮かべて

「高石先生が開業したら絶対にかかりつけ医にしますよ、ウチの子達の」

知り合いとはいえ、凄い信頼関係だな。

本当にハルさん。
凄い人と結婚したのね。
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