結婚ラプソディ
「うわあああー!」

目の前で叫ぶ女の子。

とうとう、最後の特等が発表された。

「おー!
こちらへどうぞ!!」

司会が手招きをする。

「良かったー!
これ、休みのない医師に当たったらどうしようかと思ってたんだよねー!」

チャラいお医者様がホッとしたように言うと周りから笑いが溢れる。

「むっちゃんに当たったのか!」

新郎、嬉しそう。

「是非、新婚旅行にでも充ててください」

新郎がニコニコしながら渡したのは何と、シンガポールとマレーシアの旅、ペア1週間!のパネル。

「むっちゃんと近々結婚するであろう旦那様と行くなら、もう少しオプション付けてあげる。
セパンサーキットとか行きたいと思うしね。
どうせ行くならMotoGP、観ておいでよ。」

何だかよくわからない事を新郎がおっしゃっているけど、真由さんは娘さんより大興奮だし、さっき話をしていた祥太郎さんは

「…先生、やり過ぎ」

と苦笑いをしていた。

「いいんですかー!?」

娘さんが嬉しそうに言うと

「いいよ。
その時期に旅行を合わせたらいいし」

「やった〜!」



「…え〜。
行くならバレンシアが良かった…」

一方、祥太郎さんの隣に座っているのが娘さんの婚約者らしい。

「一周忌が過ぎたら結婚するんでしょ。
ちょうど良かったね」

「まあ…そうだけど」

あら、結婚する人が多いのね。



何はともあれ、無事にくじ引きが終わった。

…とにかく、凄い景品だったわ。
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