結婚ラプソディ

★ 水間 哲人 ★

くじ引きを速人に任せてその間に新郎新婦への質問状に目を通す。

…いや。

これ、ほとんど駄目でしょう。

紺野総合の医師達、大丈夫か?

…速人、お前の質問は新婦が倒れるぞ。

小児科医の名を汚すな。



俺は頭を抱えた。



透に…後で仕返しされる。

絶対に。



「先輩、何悩んでいるんですか?」

後ろから速人に声を掛けられて思わずビクッ、とする。

「悩むも何も、これは駄目でしょう」

と、速人の書いた質問を見せる。

「他にも紺野総合の人達、みんな同レベルなんだけど、透をいじめたい訳?」

めでたい席で。

「いじめたい、ではなくて弄りたいんです」

最高の笑顔を見せた速人。

…4次会で絶対に殺られるよ、透に。



気を取り直して。

「皆様、今からの時間は先程書いて頂きました質問を新郎新婦にぶつけてみたいと思います。
新郎新婦には拒否権なしです」

俺の言葉に透は異常な反応を示した。

「拒否権なし?」

「そう。
まあ賢いお前なら拒否する事もないだろう」

「あ、そうそう!」

おい、この場の司会進行役は俺だぞ、速人?

「ウソは駄目ですよ、先輩」

「…そんなにきわどいのがあるの?」

普段は優しい口調の透。

段々端々に棘が出てきたぞ。

「まあ、とりあえずいいや。
この箱の中にある用紙を引いて、透」

俺は箱を差し出した。



頼むから速人のだけは引かないでくれよ。
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