結婚ラプソディ
外は完全に明るくなっていた。
優しい光が部屋に広がる。

透と私は結局、ロフトで横になっている。



「ハル、何か食べたい?」

ああ…。
透のその囁く声。
背中に電撃が走る。
その声は本当に危険だわ。

「…まだいい」

何とか絞り出した声で返事すると透は頷く。

透のキラキラ光るその瞳は私を吸い込みそうなくらい、惹き付けるものがある。
一度、見つめてしまうと目を逸らせられなくなる。

「ハル、そんな目をされると…僕、自分を抑えられなくなるんだけど」

…それは私の台詞。
思わず、透の胸に自分の顔を埋めて後ろに回した手で背中を軽く叩いた。

透の事は高校の時から知っている。
途中20年くらい空いたけど…。

なのに。
未だにドキドキしてしまう。

あの、綺麗な目。
優しい声。

見慣れているはずなのに、駄目。



「ハルさん、さっきから顔が赤くなったり、脈も早いですけど…どうかされましたか?」

透は私の手首で脈を取り、わざと言う。

…わかっているくせに。

自分の声で私を弱らせる事を。

自分の瞳が私を虜にする事を。

「心臓がバクバクして、死にそうです」

透はプッ、と吹き出して

「死にそうな人がそんなに元気に話はしません。
心臓がバクバクしているのは…」

脈を取っていた手をそっと私の胸に置いた。

「恋をしているのだと思います、ハルさん」

そう言って透は胸の上に置いた手を私の手のひらに移すと更に私の手を取り、自分の胸に当てた。

「ほら、わかります?」

ああー!その声。
しかもわざと診察する時の口調だし。

「僕も同じですよ」

その瞬間、顔が急に熱くなる。

透はニヤッ、と笑って

「ハル、見てて楽しいよ」

と言うもんだから…余計に頭に血が上る。

「もう、透ー!」

って叫んだのは良いけど、すぐに口を透の唇で塞がれてしまった。



…また、透のペースでヤられてしまった。
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