結婚ラプソディ
「おはようございます」

翌朝、久しぶりの病院。
小児科病棟のナースステーションを訪れた。

「おはようございます~!!」

久々に僕の顔を見て、ニヤニヤしているナース数人。
ああ、また弄られる日々が続くのか。

僕はPCにログインして入院患者のデータを見つめた。

そこへフラフラの速人がやって来る。

「お疲れ様」

おはようより先にお疲れ様、だ。
日曜の夜、相当飲ませたからな。
昨日の日勤後、そのまま当直。
そして今日の日勤でようやく解放。

「…おはようございます」

辛そうに椅子に座った。

「まだこれから外来があるんだぞ?頑張れ!」

背中を軽く叩いたのに速人はそのまま机に伏した。

「しんどいー」

「自業自得だ」

僕は笑ってPCを見つめる。



また今日からいつも通り。
病院と家との往復の日々。

だけど。
家にはハルがいてくれる。
それだけで充分、僕は幸せだと思う。



「透、おはよう」

意外な人が小児科にやって来た。

「おはようございます」

僕は立ち上がって頭を下げる。
父さんだ。
一応、院長なのできちんと挨拶はする。

「今日、なっちゃんが見学に来るけれどお前の診察、見せてあげて欲しいんだが」

「ええ、いいですよ」

父さん。
なっちゃんって呼んでるのか。
…馴れ馴れしい。

「確かハルさんも健診だろ?」

父さんがどうして知っているの?
また江坂先生を脅して聞いたな。

「そうですよ」

僕はPCをログアウトした。

さて、回診して外来へ行こう。



また、いつもの多忙な日々が始まる。
< 89 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop