せめて、もう一度だけ
その日の夜。


諒が私の体を求めてきた。


今まで放置していたのに、よりによってなんで今夜、私を抱くんだろう。


「美希子、俺やっぱり子どもが欲しいんだ」


抱かれたあと、私の隣で話す諒。


なんで今さら、そんなこと言うの?


「今まであんまり協力的じゃなかったけどさ、授かれたらいいと思ってる」


美希子は無理しなくていいから、なんて言われても困る。



気持ちはここにないのに。


拒否できない、卑怯でダメな私がいる。



遼くんは避妊してくれてるのに。


諒のすべてを受け入れないといけないなんて。


私が欲しいのは、遼くんなのに。



中途半端にズルズル続けてきた、罰があたったんだ。


諒と私が一緒にいるのを見て、遼くんはどう思ったんだろう。


傷ついただろうし、あきれているだろう。


次会ったら、今までのように話せないかもしれない。



諒に気づかれないよう、涙をぬぐった。


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