ビター・アンド・スイート
「ハヅキ!」と息を切らしてシロタさんが戻ってくる。
両肩を掴み、顔を覗き込んでくるので、
慌てて、涙を拭いてみた。
でも…
きっと、泣いてるのはばれたかな。

シロタさんは大きな溜息の後、
「おまえ、デートしたいなら早く言え。
車停めるのに苦労しただろ。」とそっと私を抱きしめた。
「ごめんなさい」と小さな声を出すと、
「で。なんか言いたいことがあるんだろ ?」私の瞳を真っ直ぐ見る。

「あ、あの…好きになってもらう前に言わないとって。
きっと、言っておかないと、後悔するって。
苦しくなって言えなくなるって…」
と言いながらシロタさんを見ると、まだ見つめている。

「なんで、今って、引かれるかもって、迷って…あの…」
「ちゃんと言え。」と眉間にしわを寄せる。
「私は子どもが…子どもができないって…あの…」と言っている途中で、
「もう、言わなくていいよ。わかったから…。離婚はそれが原因?」と私を固く抱きしめる。
「…それだけじゃないけど…。」と言いながら、大人しく腕の中にいると、シロタさんは身体を離して、
「俺はハヅキがそばに居てくれればそれでいいよ。
それにさあ、好きになる前にって言われても困るよ。とっくに好きだし。」と笑って私の涙を拭いた。
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