ビター・アンド・スイート
ヤヨイが
「ハヅキちゃん、エッチな事はしてませんか〜?」とドアをノックする。
「してません。」と機嫌の悪い顔でドアを開けると、ニヤニヤとコーヒーとケーキを運んでくる。
「お腹を確認したかったのに、ガードが固い。」とシロタさんが笑う。
「ヤバイよ。」とヤヨイがクスクス笑って、下に降りていった。

「まったくもお。」と頭を振ると、
「ほら、ケーキ食おうぜ。俺はもお、要らないけど。」とシロタさんがコーヒーを飲む。私は
「いただきます。」と手を合わせてチョコレートケーキを口に入れる。
「美味しい。やっぱり、風間さんのケーキって特別ね。」と息をつくと、
「そーいう、うっとりとした顔キスの時にも見せて欲しいもんだ。」と
私の顔を見て、にっこりする。
私は顔を背け、ケーキに集中する。
顔が熱い。

「ハヅキの部屋すごく片付いてる。整理整頓うまいよな。」と部屋を見回し、
「デパ地下の店もハヅキが来てから、すっきりしてる。」と言うので、
「うーん。つい、片付けちゃううんだよねえ。」とため息をつくと、
「どうした?」と聞くので、
「付き合ってる人の部屋もつい、片付けちゃって、
付き合いはじめは感謝されるけど、大体、管理されてるって思うみたい。
ただ、癖ってだけで、そんなつもりはないんですけど。」と言うと、
「俺の部屋も整理整頓してくれない?俺って、片付け下手なんだよね。
大事な書類とかすぐになくなって、探すの大変なんだ。」と笑うので、
「…いいですけど。」と言うと、
「決まり。休みっていつ?」と聞くので、
「今度の木曜日。」と言うと、
「水曜の夜、俺の部屋に一緒に帰ろう。」と私をまっすぐに見る。

それってさ、
泊まるって…。
そういう事だよね。

私はちょっとシロタさんの顔を見て、
ゆっくりうなづいた。

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