ビター・アンド・スイート
私は驚く。こんな話になるなんて。
「三吉屋の支店は?」と聞く、
「まあ、また、前に戻せばいいさ。
おまえがいなくてもなんとかやっていたんだし。」とおじいちゃんが笑う。

「私がやりたい。」とヤヨイがリビングに入ってくる。
ヤヨイが私の隣に座って、
「ハヅキちゃん、楽しそうに仕事をしてた。
私の方が若いし、着物も着れる。」とヤヨイは笑っている。
おじいちゃんは呆れた顔をみせる。
「ヤヨイが店を手伝うのか?」と苦笑いだ。
まあ、私ほど真面目なわけじゃないけど、可愛いところが売りかな。
「おじいちゃん、ダメ?」とヤヨイが甘えた声を出す。
「ヤヨイ、今の仕事が嫌になったのか?」とお父さんが怒った声を出す。
「だって、支店の仕事の方が楽しそうでしょ。
出会いもありそうだし。」と私の顔を見て言う。
いや、別に私は出会いを求めて支店の仕事はしてないけどね。
と、心の中で言って、顔をしかめてみせる。

「ヤヨイは休みの日に先にうちで販売の勉強をしなさい。
真面目に出来たら考えよう。」
とおじいちゃんがが言って、お父さんはしかめつらを作った。
「よーし。」とヤヨイがにっこり私に微笑みかける。
私は、呆れた顔を作った。

「一緒に暮らす前に、シロタさんのご両親にちゃんとご挨拶してね。」と母が言う。

ですよね。
バツイチの私にはけっこう、ハードルが高い。

結婚前提のお付き合い。
リョウの両親に許して貰えるんだろうか?
< 63 / 131 >

この作品をシェア

pagetop