ユキヤナギの丘で、もう一度君を好きになる
薄暗い室内は陶芸に使う土だろうか、独特の香りで満たされ少しヒンヤリとしている。

人の気配を感じなかったので、室内を一通り見渡してから思い切って声を出した。


「すみません」


シンとした空気が一瞬揺らぐのを感じる。

式のついでとはいえ、わざわざ北海道まで足を運んでいるのだ。私が今日ここへ来ることは事前に連絡してある。

もちろん、ハルのことはまだ話していない。工房の見学、ということにしてある。

奥の方から何か物音が聞こえ、扉がガラリと開けられた。

そこから見えた姿は、やはりどこかハルの面影を感じられる中年の女性だった。
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