空の下で
「ほの……か……」


「ねぇ何されたの……戻した?大丈夫?」


「ほの……か」


ほのかには心臓が悪いなんて言ったことなかった。


「柚姫!どういうこと?ねぇ!!何かされたの?」


目の前のほのかの顔でさえぼやけて見えなくなってきた。


「ほの……ごめ……ん………」


ドクンッ……


大きく波打つ心臓。


そのとき、喉になにかつっかえて、むせてしまった。


すると、押さえた手に、ドロっとした感触があった。


「柚姫!!!大丈夫?なんで、血吐いたの?」


きっと、これも、心臓のせい。


先生がそんなこと言ってた気がする……


「ほの……ごめん……後で…………はな…す……」


目の前が一瞬で真っ暗になった。


ふと、ほのかの叫び声が聞こえた。


そして、気づいた頃には、ICUにいた。


「よかった……目が覚めて」


2週間、自分は目を覚まさなかった。


ほのかは学校を休んでいた。


クラスのボスであった晴子は生徒指導を受け続けていた。





なんか走馬灯のように駆け巡った、あの時のこと。


晴子とは卒業と同時に和解した気がする。


「あ、柚姫起きてたのか?」


「うん……」


「もう少し寝たら?」


「いいよ、目が覚めてるから」


「今はどうだ?調子」


「大丈夫だよ、平気」
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