欲情プール
すると、今まで以上に美味しいと喜んでくれて…

ホッとしたのも束の間。


「ところで専務。
今朝は我儘を言ってすみませんでした。
実は昨日、私の誕生日で…
この指輪は夫からの、」

よほど嬉しかったのか、俺の前であいつとの出来事を語り出す茉歩。


「旦那の話はやめてくれ」

「それ、ヤキモチですかっ?」


ああそうだ、みっともないくらいのヤキモチだ。
だけど…

「妬ける立場じゃないだろ、俺は」


「ちょっとくらい…
妬いてくれてもいいじゃないですか」

「ちょっとくらい、か…

…ムリだな」


ちょっとですむレベルじゃない。
もう俺は嫉妬に狂いそうだっていうのに…

挙句、そんなふうに茶化してくれた茉歩の気遣いを無駄にして。
お祝いどころか雰囲気を悪くしてしまう。


何やってんだ俺は…
気持ちなら負けないつもりが、お祝い一つちゃんとしてあげられないなんて。

深呼吸して仕切り直すと。


「1日遅れだけど…
誕生日、おめでとう」

すっとプレゼントの時計を差し出した。
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