欲情プール
とはいえ、そう思うのも当然で…

専務はかなりの、いわゆるイケメンで。
ワイルドさを演出する力強いつり目に併せて、逞しい身体つきの高身長。
その上、男らしさと男の色気を備えた低音ヴォイス。

なにより、リッチで御曹司で仕事も出来るなんて…
女が放っておく訳がない。

この一週間でも、玉の輿を狙ってる女子社員達の話を、それはもう本当によく耳にした。



「残念な事に、沢山は居ないかな。
友人と思える相手も少ないし、女も…
こう見えて一途なんだ」


「あ…、すみません」

失礼な発言を謝罪しつつも。


「でも、だったら尚更…
プライベートの時間は、私じゃなく彼女さんに使って下さい」

「別れたんだ。少し前に…」


私の提案をすかさず打ち消した言葉に、
再び戸惑う。


「込み入った事を、すみません…」

失礼続きな自分に焦ったのと。


"別れた"という言葉が、今後の自分を連想させて…
ドキリと敏感に反応してしまってた。


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