スノー アンド アプリコット
目尻に涙が滲んでくる。
触って、やめて、触って、触って触って…!
胸から背筋を走る鋭い快感と、下から全身を蝕んでくるもどかしい疼き。
「どっちがドMなんだろうな、なあ?」
舌先で耳の輪郭を辿り、ユキは笑い混じりに囁いた。その声にはどうしようもなく暗い興奮が滲んでいた。
「やっ、あ…!」
こんな声は、こいつをよろこばせるだけだ。
わかっていても、もう声音に懇願が混ざるのを止められなかった。
「エっロ…」
たまらずに身をくねらすあたしの姿に、ユキが嗤った。
卑猥な音をたてながら、指があくまでゆっくりと中に侵入してきた。この期に及んで、こいつはまだ焦らす気らしい。
だけど、ユキの瞳は隠しきれない熱を帯びていていた。
欲望をなんとか、制している。
あたしを手に入れるために。
「アン、なあ、俺でいいだろ? 俺を好きになれよ。」
「やめ、……!」
「アンナ。なあ、俺の何が不満なんだよ。」
あたしの中を容赦なくかき回す指とは裏腹に、ユキが切なげな吐息を混ぜて言った。
「嫌っ、あんた、なんかっ…ああん!!」
聞きたくない、というように、苛立ったユキは強制的にあたしの頭の中を真っ白にした。
「あああぁっ………!!」
腰から痙攣が走って、もう言葉を発するどころじゃなくて、あたしは悲鳴をあげた。
ユキはあたしからも自分からも、布という布を全て剥ぎ取った。
腕の拘束も解かれたけれど、何が何だかわからない絶頂の余韻で、全身がビクンビクンと跳ねながらも弛緩しているあたしは抵抗しようもなかった。
ユキはしなやかに引き締まった、均整の取れた身体で、あたしに覆い被さる。
熱く硬い質量が入り口にあてがわれるのをぼんやりと感じ、あたしは往生際悪く声を漏らした。
「やだ、ユキ…」
「安心しろ、もっと気持ちよくしてやるから。」
ユキが押し入りながら、息を荒げた。
「く、緩めろ、馬鹿っ…」
そんなこと言ったって、もうあたしの身体は完全にコントロール不能だ。
こんなこと、今までになかった。
どんな男に抱かれたって。