スノー アンド アプリコット
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二度あることは三度ある、とはよく言ったもので。
ユキはヤリたい盛りだし、あたしは元々快楽にめっぽう弱い。
嫌というほどユキと抱き合う時の快感を覚え込まされたら、あとはもうずるずると求められるまま、あたしはユキに抱かれ放題だ。
おかしい。このままじゃ駄目だ。
そうは思うけどーー…
「キャーーー、遂に!! やったわね、ユキくん!!」
いつも奇声を上げるのはキララのはずだけど、珍しく誠子ママが叫んだ。
「やったわねじゃないわよ、なんなのあいつ、すっかり彼氏気取りで…」
あたしはげんなりして愚痴る。
「それで彼氏じゃないっていうほうが、さすがに気の毒だと思うなあ。」
一井が相変わらず楽しそうに笑いながら言った。
「そうよぉ、10年よ、10年。そんな長い片想いが実ったんだから、今はもう幸せで幸せでしかたないはずよ。邪険にしたら可哀想よ。」
ユキのファンだったはずのキララまで、現金にも一井を一目見て顔を赤らめ、すっかり祝福モードだ。
「片想いが、実った…?」
そうだ。
もう気持ちを隠そうともしないユキが、間近であたしを見つめてくる時の眼差しが、まさにそれだ。
熱っぽさと甘さで潤んだ、漆黒の瞳。
想いが通じた幸福感でいっぱいのーー…
バタン、とあたしはカウンターに頭を落とした。
おっと、と言いながら、一井があたしのグラスを掴んで避けた。
ーー店が無事オープンして、ひとまず最初の目の回るような忙しさが落ち着いたからと、一井がご飯に誘ってきたので、二軒目はあたしがレファムに連れてきた。
ー井秀俊ィィ?! と、誠子ママとキララが騒然として、一井もちゃっかり、どうぞよかったら来てくださいなんて店のカードを渡して。
二人ともそれを大事そうにしっかりとしまってから、そうよあんたユキくんとどうなってるのよ、と思い出したように問いつめてきたもんだから。
あたしは大倉の話から一連のことを話した、というわけだ。