蒼の王様、紅の盗賊
そのジルの推測を裏付けるように、音のする先から馬の嘶く声が。
───やはり、視線の先に見える小さな影は
馬だった。
それもこちらに猛スピードで駆けてくる.....馬だった。
(───もしかしたら....此処に居たら、まずいかのぉ?)
さっきまで見えるか見えないか分からないくらいだった、馬の影が
次第に近付き、大きくなってきた。
ちなみに道は、一直線。
このままだと確実に、馬はジルに突っ込む計算になる。
頭のそんなことを想像し、ジルは
頭の中での想像で、起こるであろうと推測することを避けるために
老いた身体を、ゆっくりと馬の進路から退けようとする。
────だが。
グキッ....!
だがその瞬間、ジルの腰が何とも嫌な音を上げた。
「───ゔぅあ!」
そして上がる苦痛の声。
(じ....持病の腰がッ!)
ぎっくり腰だった。
持病の腰痛が、よりによってこんなタイミングで再発した。
タイミングがいいのやら、悪いのやら。
その間に、走ってくる馬の影が近くなる。
思ったよりも、スピードが速くもうすぐそこまで迫っていた。
(───ッ!)
非常にまずかった。
このまま此処に居たら、あの猛スピードで駆けてくる馬の巨体が
このジルの老いて痩せ細った身体と衝突し
そして....
その後は、考えたくもなかった。