古い校舎が見える桜の木の下で
そんな話をしながら別れた。

「初恋の人だから」「懐かしいから」という目で
最初は佐々木を見ていたかもしれない。

しかし、会うたびごとに佐々木への気持ちが
大きくなっている自分に気づいた。

本当に俺が言いたかったのは友達としての「好きだ」ではなく、
女として意識しているという意味での「好きだ」だった。

ただ、それを強く言えなかった。
自分にはフリーターという負い目があった。
だからこそ、「友達色(ともだちしょく)」にして
佐々木とつながりをもつような態度をとった。
なんとしても、教員採用試験に受からなければという気持ちも新たにした。
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