興味があるなら恋をしよう−Ⅰ−
え〜っと、スーパーに寄ったでしょ、それから、スイーツを買ってないから…。
どのお店にしようかな。
あれもこれも欲しくなるから、どうしようかな。
あー、コンビニスイーツもいいな。
どうしようかな。
…お財布と相談。よし、コンビニにしよう。


甘い物を沢山買い込んでいるようでは…気持ちが充たされて無い証拠。はぁ。でも、脳が欲しがっているんだからしょうがない。
買わなきゃ買わないでフラストレーションが溜まるんだから。
色々買っちゃいましょう。

これだけあれば土日篭ったままで過ごせる。
一度引きこもったら、家から出たく無くなるんだから。
これも、出会いが無いに繋がっているのよね。
外に出ない人間に、どうやって出会いを作るというの?

星占いにしたって…。今日は思いがけない出会いがあるでしょうなんて言われても。
そもそも人口全体の12分の1の人達みんなに出会いがあるのか、ってね?
それでも…いい事は信じるけど。

こうやって歩いている時なら、あの人?それとも、あの人?
誰かが私の今日、出会う人って事?もう、今日だって残り時間は限られて来た。
思いがけない出会いって何?
声を掛け合えなければ、気付かなかった人で終わってしまうの?


「里緒…重い、もう駄目だ〜」

わざと無理な振りをしてみた。

「頑張れ〜、パパ、頑張れ〜」

応援する方になったか…。

「もう少しだから下りて歩こう?」

「えー、もう少しだから頑張って」

「あ、じゃあ、里緒がご褒美くれたら頑張れるかもな」

「んー、じゃあ、里緒ほっぺにチューしてあげる」

「里緒!?チューってどこで…」

「お母さんがしてるの見たよ?」

里緒が、パパ、と言って、チュッと頬にしてきた。

「あっ…ハハ…そうか。そうなのか…」

はぁ…一体、いつ見たんだ?小さいのによく見て覚えてるもんだな…。あいつに言ったら、なんて言うかな。…焦るよな。
…仕方ない。

「よ〜し、チューして貰ったから頑張るか」

少し、駆けた。

「わっ、パパ、頑張れ〜、キャハハ、はや~い」


…え?……この声は、…え…課長?
あのシルエット…。

課長…だ。
間違いない。
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