興味があるなら恋をしよう−Ⅰ−
ん?トラック?
ああ…不用な物の、引き取り業者か。

階段を上がる辺りから賑やかな気配がした。

…そうか。藍原の部屋。

冷蔵庫、洗濯機、…レンジ。

…チェスト、…食器棚。
テーブル、…椅子。

…ソファー。

次々と廊下に運び出されて来る。
全部見覚えがあった。
フ。何の因果か…。どれもこれも、よく知っている物ばかりだ。
今日辺り…、明日か。
解らないが、そろそろ居なくなるって事かな…。

「あ、ちょっとすみません。奥の部屋の者です。
通りたいので、ちょっといいですか?」

「あー、はい、すみません。どうぞ、どうぞ。
行けます?」

鞄を掲げてかわす。

「大丈夫です」

「すみません、ご迷惑かけちゃって」

「いいえ、仕事ですから、ご苦労様です」

便利屋さんみたいな感じなのかな。俺とそう歳も変わらない感じの、もっと若いかな…青年が二人で搬出していた。荷物をトラックに乗せると軽快な足取りで階段を上がってくる。きっとあっという間に片付いて終うだろう。そんな勢いだ。
……さて、どうするかな…俺。
ん?藍原は…どうやら居ないみたいだな…。
大家さんも居ないようだ。
相変わらずだな…。
貴重品なんて無いから大丈夫だとか言って、業者を100パー信用してるんだろ。…全く。無頓着というか無防備というのか。
…いい加減だな。

「あの…すみません。奥の部屋、お隣りの方ですよね?
えーっと、…坂本さん?」

気が付けば、作業が終わるまで見届けていた。
依頼主でもないのに…。

「あー、は、い。坂本ですが」

だったら、何だ?

「ですよね。あー、良かった。偶然丁度会えてたし。
作業、終わりました」

「は?…え?」

はい?なんで俺に挨拶なんて…迷惑を掛けたって意味なのか?

「これ。終わったら奥の部屋の坂本さんて男性に渡して置いてくれって。
藍原さんに言われてますので、宜しくです。
では、確かに、お渡ししました。
有難うございました」

「は?ぇえ?
あ、おい、ちょ、ちょっと!」

帽子を取って頭を下げると、あっという間に引き上げてしまった。

……行っちゃったよ。

聞いてないよ。何だこれ…。藍原…どういうつもりだ。
引き取りの明細書。
と、…鍵、渡されてしまった。
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