興味があるなら恋をしよう−Ⅰ−
段々冷静になって来れば、ベッドの頭の棚に白い封筒があるのが見えた。

宛名は無い。
封もされていない。
シンプルで無垢な封筒。

無意識だ。
手に取り、開いている封から中を覗いた。
紙が見えた。
もう取り出していた。俺宛てだと疑わなかったからだ。
小さめの便箋に文字がびっしり並んでいた。

『見てくれているという事は、鍵を使って入ってくれたという事ですね』

お…何だか罪悪感を感じて、誰に見られている訳でも無いのに周りを気にした。

『何もかも、全てにおいて言葉が足りなかった事、自分で自分を残念な人間だと思っています。普通に考えたら解る事から、何だか逃げて、何、何、ばかりを言い続けていました』

…確かに…そうだよ?

『矛盾しているのです。いいなと思う事を強く求めていないんじゃないかって』

おい…また、抽象的な事を。だから、こんな表現はだな…。
いいなと思う事って…。藍原の頭の中、心の中にあるモノを具体的に書かなきゃ解んないって…。

『賭けをしてみようと先の手紙に書きました。
賭け、と言っても、軽はずみではありません。それも矛盾はしてますね。大事な事を賭けたのですから』

…。

『荷物を出した日の夜、坂本さんが何度も何度もインターホンを鳴らしてくれた事。
…本当に何度も訪ねて来てくれた事、嬉しかった。私、知ってるんです。
あの日、私はこの部屋に居ましたから』

!?……どういう事だ。
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