興味があるなら恋をしよう−Ⅰ−
はぁ、どうしよう。もう話すしかなくなってしまった。

「あの、私、今までずっと、居ないのに恋人が居ると思われていて。
それで、それは課長も知っている事だと思っていて、そんなままではこんな事、言っても信じて貰えないだろうと思って…ずっと言えませんでした。でも、その噂の恋人の話の事は何故だったのか、昨夜解って…。それで。
それで、何も誤解が無くなった上で、言っておきたい事があるんです」

「うん…すまなかったな。本当に悪い事をした」

「いいんです、もうその事は、大丈夫ですから。それで…私…ずっと好きな人が居るんです。…あの」

「藍原…ちょっと待て…」

「私、ずっと課長が好きでした。それを言っておきたくて。
ずっと言えないままで苦しかったんです。でも、やっと言えました。これでスッキリしました。
有難うございました」

「あ、おい。藍原、ちょっと…」

「課長ー!すいませ〜ん。急ぎの書類に捺印をお願いしま〜す」

あ…もう…。はぁ。

「はい、今行くー!」

藍原…。勝手に告白して、勝手に居なくなったら困るだろ。呼び出したのは俺だ。
あぁ…、夜は中々時間も取れないし…。
また暫く先送りか…。

「課長〜!!すいませ〜ん」

「ああ、解ってる。直ぐ行くー」
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