夢を忘れた眠り姫
でも、本妻さんの息子さんは貴志さんより何ヶ月かだけ年上のようだし、籍を入れる頃はまだ27、8才で、今時の男性にしてはちょっと早い結婚だな、と思う。


「風の便りで仕入れた情報によると、本人達の希望によるものではなく、やはり諸々のしがらみがあっての、周りからのお膳立てによる婚約らしい。過去にそれで一波乱起きたってのに、まったく、教訓を活かすことのできない愚かな一族だよな」

「……さっき、お見合い相手のデータは把握してないって言ってましたよね」


相応しい返答が思い浮かばなかったので、貴志さんの直近の発言はひとまずスルーして自分が今一番気がかりな点を確認してみた。


「ということは、顔はもちろん名前や年齢なんかもご存知ないってことでしょうか?そして、それはどのタイミングで明かされるのでしょうか?」

「実際に会うまではシークレットらしい。つまり、見合いまで漕ぎ着けなければ最後までその素性は分からないということだ。孫娘の情報を、うかつに第三者には拡散したくないんだろう」


淡々と返答したあと、貴志さんは眉を潜めた。


「そのくせ男の方にはこれでもかとばかりに色々な条件が提示されているんだがな。健康状態は良好で、年齢は25から35くらいまで。そしてすでに話に出たけど、未婚であるのはもちろんのこと恋人もいないこと、ってな」
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