夢を忘れた眠り姫
冷蔵庫内のスペースを独占する訳にはいかないので、それを考慮しつつ、散々作り慣れているメニュー達に必要な食材を迷うことなくさっさか手に取りカゴに入れ、レジへと向かう。

買い物を済ませ、アパートに戻った私はさっそくキッチンに立った。

四合のお米を炊飯器にセットしてスイッチを入れたあと、同時進行で何品もの調理を開始する。

出来上がったそれらをカウンター上に並べた大皿に盛りつけ、用の済んだ調理器具を洗って水気を切って所定の場所に仕舞ったあと、今度は保存用のタッパーを取り出した。

ラップをしないでしばし放置していた大皿の上の料理は計算通りあらかた冷めていたので、それを容器に詰め、冷蔵、冷凍コーナーに収納していく。

全部一つの容器に納まっている物もあれば、一食分ずつ小分けになっている物もある。


「この後ご飯を入れたとして…。もうちょっと作っても大丈夫そうだな」


庫内を素早く見渡し、ドアを閉めながら呟いた。

半分のスペースに収まるようにと計算しながら食材を仕入れて来たけれど、まだまだ全然余裕があった。

考えてみれば以前使っていた冷蔵庫は一人暮らし用のミニサイズ。

対するこちらはファミリー向けで、二分の一のテリトリーしか与えられていなくても、むしろ保冷できる容量は増えたのだった。

貴志さんも料理はあまりしないそうだけど、今までの相棒さんは本当に、全く、食材を加工する技術がなかったらしい。
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