夢を忘れた眠り姫
「そう。それじゃあ、そうしてもらおうかな」

「ええ」


話がまとまった所で再び各々動き出し、出勤の準備を整えたあと、自然とリビングに集まった。


「では、お先に」


貴志さんがつけていたテレビ画面の時刻が7時55分になった所で、私はコートを着込み、バッグを手に歩き出す。


「ああ。あ、どうせまたすぐに俺が開けるから、ドアの鍵はかけなくていいから」

「分かりました」


彼に見送られながらリビングを後にし、玄関へと向かい、外に出る。

暖房や照明やテレビの電源を落としたり、鍵の施錠に気を使う必要がなく、そのまんまパッと出掛けられるから、先に出発した方が断然楽チンだな。

明日からもぜひともそうさせてもらおうっと。

そんなことを考えながら駅まで歩を進め、電車に揺られて会社最寄りの駅で降り、再びテクテクと歩いて、トータル数十分後、無事に会社へとたどり着いた。


「あ、永井さん!」


ロッカールームで荷物の整理をしていると、後から出勤して来た近藤さん山瀬さんが、ドアを開けるや否や私の姿を確認したらしく、そのまま一直線に突進して来た。


「おはよー!昨日はどうも~」

「いやー、ホント驚いたよー!」


……やはりその話題から入るか…。

内心げんなりしながらも、顔にはふんわりとした笑顔を浮かべつつ振り向き、挨拶。


「おはようございます」
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