夢を忘れた眠り姫
「じゃ、買い出しに関しては俺も協力するよ。一緒に行って荷物持ちするか、もしくはメモでも渡してくれればその通りの物を買って来るくらいは俺にだってできるし。それで費用はきっちり折半じゃなくて、俺が多目に出すことにしよう。割合は七対三でどう?」

「え、そ、そんな…」

「だって、調理に関しては全面的に君に任せることになってしまうだろうから。そういうところでバランスを取らないと」


普段は寡黙で、更に言えば何だかぼんやりしているように見えるけれど、いざとなれば自分の考えをしっかりと自己主張できる人なんだな、とつくづく思う。


「バラバラに買い出しに行った場合はレシートを持ち帰ってそれを元に精算。一緒に行った場合は一旦俺が払い、後から永井さんに三割分負担してもらう、という事でいいかな?」

「……分かりました」


彼の中ではもう決定事項のようで、拒もうとしても同じやり取りが延々繰り返されるだけだと思い、ここは素直に折れる事にした。

それにまぁ、最初にそういう風に決めておけば気兼ねなく迷うことなく動けるしね。


「よし、決まり。さて、それじゃあ本格的にいただくとするか」


貴志さんのその言葉を合図に私もダイニングテーブルへと戻り食事に専念することにした。

特別会話はなく、先に私が食べ終え、洗い物を済ませた所で貴志さんも空の食器が乗ったトレイを手にキッチンカウンターへと近付いて来る。
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