夢を忘れた眠り姫
変な間が長引かないようにすぐさま言葉を繋ぐ。

この話の持って行き方が正解かどうかは分からなかったけれど、とにかく沈黙が怖かったのだ。


「友達も超少なくて、社会人になってからも付き合いがあるのは中、高で一緒だった3人の子だけだし。でも、その中の二人は恋人と旅行の予定で、そして残る一人はなんと、今、北海道に住んでるんですよ」


貴志さんはひとまず食事の準備を再開しつつ私の話に耳を傾けていた。


「あっちに本社があるチョコレートメーカーが大好きで、『将来絶対にあそこで働く』って言ってたんですけど、宣言通り、無事その権利を手に入れて意気揚々と旅立って行きました。そこは入社したら必ず最初は皆店舗勤務から始めるらしく、年末年始も営業するから普通の会社みたいに連休にはならないし、帰省しようとするとかなりの強行軍になってしまうだろうから、今回のお正月は帰らないって言ってました」

「そう…」


会うことはめったにないけど、それぞれとは電話やメールで定期的に連絡を取り合っているので近況はだいたい掴んでいる。

しかし、貴志さんとのことはもちろん、今抱えているあのトラブルについて明かしてはいない。

余計な心配をかけてしまうかもしれないし、私自身が単純にその件を暴露したくないというのもある。

そこでふと、もう一人、付き合いがある人物がいた事に思い至った。
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