夢を忘れた眠り姫
でもまぁ、それでそこそこ良い高校、大学を卒業し、最終的に今の会社、国内の電機メーカーとしては最大手の『コスモ電機』に入社できたのだから、私にとってはベストな選択をして来たという訳だ。


「そっか。だけど新幹線や特急を使えば群馬だって都内まではあっという間だよな」

「…そうですね」


『その駅にたどり着くまでがまた一苦労なんだけどね…』とは思ったものの、ちょうど貴志さんの朝食の準備が整ったようなのでひとまず会話を終了させるべくそう答えた。

彼はそれを手にソファーへと移動したので、私は入れ違いにカウンター内に入り、マグカップを洗って外出の支度の為にリビングを後にする。

洗面所で歯を磨き、自室で化粧をしたり髪の毛を整えたりした後、しばし思案し、白のとっくりのセーター、黒のパンツをケースから取り出して着替えた。

コートとバッグを手にリビングに戻ると、貴志さんもすでに身支度を整え、ソファーでテレビを眺めていた。

緑のトレーナーとジーパンというカジュアルな服装だったけれど、相変わらずデザインが地味めでどうにもこうにも垢抜けない。

やっぱりわざとやっているとしか思えないのだが。


「あ、もう出かけられる?」

「……はい」

「じゃ、行こうか。」


そのまま二人連れ立って近所のスーパーへ。

入口付近の壁に、この前来た時は気付かなかった年末年始の営業についての張り紙を見つけた。
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