夢を忘れた眠り姫
結果、手元に残ったのはその後3年間の学費と、就職してお給料をもらうまでの生活費を賄えるくらいのお金であった。

それでも、それだけの遺産を遺してくれた二人にはホントに感謝だけどね。

それも二人からの愛情だもの。

まぁそれはさておき、そんな訳で私は父方の祖父母、親戚とは一度も顔を合わせたことがない。

どこに住んでいるのかさえ分からない。

養父母に関しては施設に記録が残されていただろうけど、父はあえて確認しなかったようだ。

父は両親に捨てられ、母は自分から親を切り捨て家を出て、そして私はあまりにも早く二人に旅立たれ、つくづく血の縁というものが薄い家系なんだな、と思う。


「…大学進学を機に上京して、そのままこっちで就職したんです」


そんな風に思考が寄り道してしまい、ちょっと間を置いてからの返答になってしまった。


「父は資格持ちだったから田舎でも良い職に就けましたけど、私は特別役に立つ技能はなかったので、むしろこっちに留まった方が良いだろうと判断しました」


何しろ「受験の為のお勉強」をこなすのに精一杯で、資格を取得している暇などなかった。

大学生になって、生活が落ち着いて来たら何かに挑戦してみようかな、なんて思っていたのだけれど、それどころではなくなってしまったし。
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